「あたたかくしてお過ごしください」とメールや手紙で書こうとして、「暖かく」と「温かく」のどちらを使うべきか迷ったことはありませんか。結論、正しいのは「暖かくしてお過ごしください」です。「温かく」を使うと誤用になってしまいます。
この記事では、この二つの「あたたかい」の違いと正しい使い分け方を、実際の例文とともにわかりやすく解説していきます。
ビジネスメールや年賀状などで自信を持って使えるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
「暖かくしてお過ごしください」とはどんな意味か
「暖かくしてお過ごしください」は、寒い時期に相手の体調を気遣う定番のフレーズです。「体を冷やさないように気をつけて生活してください」という意味で、相手への思いやりや配慮の気持ちが込められています。
ビジネスメールの結びや年賀状の一言、SNSのメッセージなど、幅広い場面で使われる便利な表現です。
具体的には「厚着をする」「暖房を使う」「温かい食べ物を摂る」など、寒さ対策をして健康に過ごしてほしいという願いが込められています。
「暖かくしてお過ごしください」でよく使われる例文
実際にどのように使われているのか、いくつか例を紹介します。
- 「寒い日が続きますので、暖かくしてお過ごしください」
- 「まだまだ冷え込みますので、暖かくしてお過ごしくださいませ」
- 「体調を崩しやすい季節ですので、暖かくしてお過ごしください」
- 「年末年始は冷え込みが厳しいようです。暖かくしてお過ごしください」
似た表現として「ご自愛ください」もありますが、「暖かくしてお過ごしください」の方がより具体的で季節感が伝わりやすいという特徴があります。
家族や友人への少しくだけた「暖かくしてお過ごしください」の例文
LINE・SNS・友人へのメッセージ:
- 「寒いから、暖かくしてお過ごしくださいね!」
- 「まだまだ寒い日が続くみたいだから、暖かくして過ごしてね」
- 「風邪ひかないように、暖かくしてお過ごしください〜」
- 「今週は冷え込むらしいよ。暖かくして過ごしてね!」
- 「体調崩さないように、暖かくしてお過ごしください😊」
- 「急に寒くなったから、暖かくして過ごしてください!」
- 「インフルも流行ってるし、暖かくしてお過ごしくださいね」
- 「お体に気をつけて、暖かくして過ごしてください♪」
家族や親しい人へ:
- 「寒いから暖かくして過ごしてね」
- 「風邪ひかないように、ちゃんと暖かくしてね」
- 「今日は特に冷えるから、暖かくして過ごしてください」
- 「無理しないで、暖かくしてゆっくり休んでね」
「暖かく」と「温かく」の基本的な違い
同じ「あたたかい」という読み方なのに、なぜ「暖かい」と「温かい」という二つの漢字があるのでしょうか。実は、それぞれ使う場面が明確に分かれています。
「暖かい」は気候や気温、空間全体の温度を表します。「今日は暖かい日ですね」「暖かい春が来ました」「部屋が暖かい」といった使い方をします。つまり、外気温や室温など、環境全体の温度が高い状態を指すのです。
一方、「温かい」は心情的な温もりや、特定の物の温度を表します。「温かい人柄」「温かい言葉」「温かいスープ」「温かいお風呂」などが該当します。つまり、人の心や個別の物体の温度を指すということです。
整理すると以下のようになります。
- 暖かい=気候・気温・空間の温度(環境全体)
- 温かい=心・感情・物の温度(個別の対象)
この基本的な違いを理解しておけば、ほとんどの場面で正しく使い分けることができます。
「温かくしてお過ごしください」は使っても問題ない?
どっちかわからなくなることもありますが、うっかり使いがちな「温かくしてお過ごしください」は誤用です。
なぜなら、「お過ごしください」という言葉は相手の生活環境や日常全体を指しているためです。つまり、気候や室温などの環境を整えて過ごしてくださいという意味になりますので、「暖かく」を使うのが正解となります。
「温かく」を使ってしまうと、「心を温かく保って…?」「何か温かいものを…?」と意味が曖昧になり、日本語として不自然に感じられてしまいます。
ただし、誤って「温かくしてお過ごしください」と書いてしまった場合でも、文脈から意図は伝わることがほとんどです。相手も気遣いの言葉として理解してくださるでしょう。しかし、正しい日本語を使えた方が教養のある印象を与えますし、特にビジネスシーンや目上の方へのメールでは、正しい表記を心がけたいところです。
場面別に見る「暖かく」「温かく」の正しい使い分け
ここでは、実際によく使われる場面ごとに、「暖かく」と「温かく」の使い分けを例文とともにご紹介します。
季節の挨拶・メールの結び
季節や気候に関する表現はすべて「暖かく」を使います。
例文:
- 「時節柄、どうぞ暖かくしてお過ごしくださいませ」
- 「春とはいえまだ肌寒い日が続きます。暖かくしてお過ごしください」
- 「寒暖差が激しい時期ですので、暖かくしてお体ご自愛ください」
- 「年の瀬も押し迫ってまいりました。どうぞ暖かくしてお過ごしください」
食べ物・飲み物
飲食物の温度を表す場合は「温かい」を使います。「暖かいコーヒー」とは書きません。
例文:
- 「温かいスープで体を温めてください」
- 「温かいお茶をお淹れしましたので、どうぞ」
- 「温かいうちに召し上がってくださいませ」
- 「温かい飲み物を飲んで、ゆっくりお休みください」
人の性格や雰囲気
心情的な温もりを表現する時は「温かい」を使います。
例文:
- 「いつも温かいお言葉をかけてくださり、ありがとうございます」
- 「温かいお心遣いに感謝いたします」
- 「彼女は本当に温かいお人柄ですね」
- 「温かいご家庭で育たれたのだと感じます」
お風呂・暖房器具
水やお湯の温度は「温かい」ですが、部屋全体が温まっている状態は「暖かい」です。ここが少し混乱しやすいポイントですね。
例文:
- 「温かいお風呂にゆっくりお浸かりください」
- 「暖房を入れて部屋を暖かくしておきました」
- 「温かいお湯で手を温めてください」
- 「エアコンで室内が暖かくなりました」
洋服や布団
防寒具や寝具は「暖かい」を使います。これらは身につけることで体温を保ち、環境を暖かくするものだからです。
例文:
- 「暖かいコートを着てお出かけください」
- 「暖かいお布団でぐっすり眠れました」
- 「暖かい靴下を履いてお休みになるとよいですよ」
文章やメールで使うときの注意点
実際に文章を書く際に気をつけたいポイントをまとめます。
まず、迷ったら文脈で判断することが大切です。「気候・気温・空間」に関することなら「暖かい」、「心情・物の温度」なら「温かい」と覚えておきましょう。
ビジネスメールでの実践例文
ビジネスメールでは、特に季節の挨拶で間違えやすいので注意が必要です。以下のような使い方が正しい表現となります。
メールの結びの例文:
- 「寒さ厳しき折、暖かくしてお過ごしくださいませ」
- 「師走の候、ご多忙のことと存じます。暖かくしてお体ご自愛ください」
- 「まだまだ寒い日が続きますが、暖かくしてお過ごしください」
- 「立春とは名ばかりの寒さが続いております。どうぞ暖かくしてお過ごしくださいませ」
年賀状や手紙での例文
年賀状や季節の手紙でもよく使われる表現です。
- 「本年もどうぞよろしくお願いいたします。寒い日が続きますので、暖かくしてお過ごしください」
- 「寒中お見舞い申し上げます。厳しい寒さが続いておりますので、暖かくしてお過ごしくださいませ」
- 「余寒なお厳しき折、暖かくしてお過ごしくださいますようお祈り申し上げます」
また、同じメールや手紙の中で「暖かく」と「温かく」が混在していても、それぞれが正しく使われていれば問題ありません。ただし、読みやすさを考慮すると、あまり頻繁に出てこない方がスマートな文章になります。
手紙や年賀状などのフォーマルな文章では、より丁寧に確認することをおすすめいたします。一度印刷してしまうと訂正できませんので、下書きの段階でしっかりとチェックしましょう。
暖かくしてお過ごしくださいについてまとめ
「暖かく」と「温かく」の違いと使い分けについて、例文を交えながら解説してまいりました。正しいのは「暖かくしてお過ごしください」で、「温かくしてお過ごしください」は誤用です。気候や気温など環境の温度を表すときは「暖かい」、心情や物の温度を表すときは「温かい」と覚えておけば、ほとんどの場面で迷うことはありません。
ビジネスメールや年賀状などで正しく使い分けることで、相手に好印象を与えることができます。今回ご紹介した例文を参考に、ぜひ実際の場面でお使いください。何度か使っているうちに、自然と正しい使い分けが身についてまいります。この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

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